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2012年05月07日

四国の川を旅する《四万十川 03》

 四万十初日、雨の夜

僕の東屋サイトは細長いキャンプ場の端に位置していた。
向こうには小雨に煙った他グループの灯りが見える。

 「きっと楽しくやっているんだろうなぁ。」

なんだか淋しくなってきた頃、水が飲みたくなり、自販機へ向かうことにした。
そのグループの前を挨拶をしながら通りすぎようとすると、女の子が「一緒に飲みませんか?」と声をかけてきてくれた。
ありがたい…
ダンディな父ちゃん3名と、若い女の子。

二つ返事で参加させてもらうことにした。
大きなマグを手渡され、とたんに焼酎が注がれる。

 「乾杯!どこから来たの?」
 「札幌です!」
 「ええっ!?そらまた遠いとこから…おれらは福岡たい!あれ?さっき温泉におらんかった?」

あっ、さっき山村ヘルスセンターで先にお風呂に入られてた方々だ。

 「すごい!日本の南北から四万十に!」
感激してくれていた女の子はこのグループとはまた別のグループから合流してきて一緒に飲んでいる子であった。

 「我々はね、釣りをしながら歩いてるんですよ」
3人組のダンディ父さん達は、福岡を起点としてあちらこちらに釣り行に出かけているらしい。

どんどん話が広がる。
お互いの旅の経緯、旅のスタイル、これからの予定の話など、尽きることなく盛り上がる。
自分以外の人の旅の話を聞くのは面白い。
相手の話に身を乗り出して聞き入る感じだ。
更にはひょっとして共通の知り合いがいるのでは!?と思ってしまうような、長崎の五島列島にいた方が参加してくれたり、楽しい宴は続いた。

 四国の川を旅する《四万十川 03》

すっかりごちそうになってしまい、ほろ酔いで自分の東屋サイトに戻る。
雨はすっかり本降りになっていた。
楽しい飲み会の後に、一人暮らしの寂しい部屋に戻ってきた感覚がある。
仲の良い友達とメールをしながら歯磨きを終えてテントに潜り込む。

今回のシュラフには期待している。
高知の4月の気温状態から判断して新たに購入したモンベルの『スーパーストレッチダウンハガー#5』だ。
今回の旅、装備増強の急先鋒である。

あたりは雨の音しか聞こえなくなった。
四万十にやってきて、初めての夜。
いきなり淋しさに押しつぶされそうになる。

明日は一日強い雨が降ると予報が出ている。
友達からメールをたくさん送ってもらう。
遠く札幌から、強さを分けてもらって眠りに就いた。
 四万十二日目 出発予定日

明け方に目が覚めたものの、降り続く雨音に対してやる気も起きず、だらだらとテントの中で過ごしていた。
スーパーストレッチダウンハガー#5のチョイスは正解であった。
暑くもなく寒くもなく、くるまっていると丁度良い安心感がある。

 「おはようございます!寝てます?」

ぼんやりしていると声が聞こえた。
昨日の夜お世話になった福岡の父さんだ。

 「あ、はい、おはようございます、今、出ます!」

あわててシュラフを飛び出た。

 「朝ごはん、一緒にどうかと思って。^^」

なんというホスピタリティ。
見ず知らずの若者(嘘)を、無条件でもてなしてくれているのだ。

急いで着替えて外に出た。
雨降りの中、父さん達は西土佐大橋の下のスペースで雨をよけて過ごしている。
朝食の準備は整っているようだ。

 「さ、体操しようか!」

彼らの朝の定番はNHKラジオ体操らしい。
僕も混じって!1,2,3,4!”である。
体がすっきりした。
一人のときも、朝は体操をしよう。

美味しい朝食をごちそうになった後、彼らとお別れだ。
前の日に買った四万十川の絵はがきに、僕の住所とブログの名前を書いて渡した。
いつかどこかで、再会できますように。

 四国の川を旅する《四万十川 03》

雨の朝。
何をしようか考える。
特に何も思いつかない。
TNFのレインウェアに身を包んで、ひまつぶしにカヌー館へ。
パソコンを借りてブログ更新したり、飛行機の予約状況を調べたりする。
全くヒマである。
パソコンも飽きたのでサイトに戻ると、町内放送でダム放流のアナウンスが流れた。
川下りにとって、あまり良い情報ではない。
目の前の四万十川はにごりを増し、幾分増水して見える。

 四国の川を旅する《四万十川 03》

雨の景色、湿度は、心を卑屈にさせる。
本当に下るのか、この川を。

 四国の川を旅する《四万十川 03》

だが悪いことばかりではない。
目の前にひさしぶりに見るサワガニが遊びにきてくれた。

 四国の川を旅する《四万十川 03》

雨の一日。
景色も煙っている。

 四国の川を旅する《四万十川 03》

本を読む一日。
東屋で暮らす一日。

 四国の川を旅する《四万十川 03》

酒を飲む気にもならない。
夕方ようやく雨が上がって日がさした。
明日にそなえてボイジャーを念入りに組み立てた。
でも、出れるのか。わからない。

大したこともしていないけど、また風呂に行こう。
昨日と変わらず、中学校の体育館では子供たちがスポーツに明け暮れている。
そんな彼らの声に、パワーを少しもらう。

明日はきっと下れる!!
希望を抱いて、四万十2日目の夜を無理矢理閉じ込めた。


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この記事へのコメント
よっしゃっあー!

進むぞ!男道ー!

( ̄∇ ̄|||)ナンダカ…

訳わからんコメ(爆)。

進めー!

ん…、こんなコメで失礼しました。
Posted by た〜さん at 2012年05月07日 01:16
こんばんは。

餅さんお帰りなさい。(コメント遅い・・)

毎度の事ですが、餅さんのブログ読んでたら引き込まれますねぇ

いつのまにか旅してる気分になって?

なんか得した気分です~。

最高です!!
Posted by ごろう at 2012年05月08日 23:35
いやいやたーさん、嬉しいですよ、なんか鼓舞されるもんがあります。
平岸水軍は自分の旅の記録とたーさんに読んでもらうためにある!


ようなもんです。笑
Posted by 餅 at 2012年05月10日 20:31
ごろうさん

ありがとうございます!
平岸水軍を読んでもらって、追体験してもらうなんてありがとう!
次回はいよいよ川に出ます。
四万十の川景色、どんどん上げていきますんで、また覗きにきて下さいね?(^-^)
Posted by 餅 at 2012年05月10日 20:35
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