2010年10月07日
北海道の川を旅する《2010年の十勝川 3/E》
激しい瀬を越え、船上でぐったりしてしまうが、この日の十勝川は流木のストレーナーを大量に擁し流れも速く、なかなか僕に油断する時間を与えてくれない。
スポンジでコクピットの水を排水しながら、忙しいパドリングは続く。
十勝川が暴れたのであろう、流れのサイドチェンジがある場所では河畔林がえぐられ木が倒され、その倒木にに大きな流木がからむ場所がかなり多い。
それを避けるために、河畔林側とは逆側の本流ギリギリを選ぶコースどりで下るため、何度もエディに捕まってしまう。
度重なる故意ではないエディキャッチは、悔しさとともに疲労を伴う。
今まで我流で磨いてきたパドリング技術やコースの選択眼をあざ笑うかのように、いとも簡単にエディに吸い寄せられてしまう。
悔しい、ムカつき、がっくりうなだれる。
そして次の漕ぎ出しは非常に力ない…
スポンジでコクピットの水を排水しながら、忙しいパドリングは続く。
十勝川が暴れたのであろう、流れのサイドチェンジがある場所では河畔林がえぐられ木が倒され、その倒木にに大きな流木がからむ場所がかなり多い。
それを避けるために、河畔林側とは逆側の本流ギリギリを選ぶコースどりで下るため、何度もエディに捕まってしまう。
度重なる故意ではないエディキャッチは、悔しさとともに疲労を伴う。
今まで我流で磨いてきたパドリング技術やコースの選択眼をあざ笑うかのように、いとも簡単にエディに吸い寄せられてしまう。
悔しい、ムカつき、がっくりうなだれる。
そして次の漕ぎ出しは非常に力ない…
十勝橋を越えた。
2006年、初めて十勝川を下った時の出発地点だ。
深い藪に閉ざされており、当時の僕をしてよくもまぁこんなところを突っ込んできたなと自分で感心する。
「と言う事は、キャンプ地の祥栄橋まであと5キロちょい…」
その距離を長いと感じるか短いと感じるか。
流速からすれば、1時間を大きく切ることだろう。
さらに危険ポイントである『新テトラの瀬』と呼ばれる落込みもこの先であるが、この水量ならば完全に消失しているはずだ。
とにかく早く陸に上がりたかった。
カヌーツーリングっていうのは、もっとゆったりと出来なければなるまい。
ツアー中のビールもこれまでの最小記録、わずか2本飲んだだけだ。
川は左へと進路を大きく変更し、東進した。
祥栄橋手前、送電線の鉄塔になにやら猛禽類がとまっているのが見えるが、遠くて逆光でよくわからない。
模様、大きさからみてオオタカのような気がする。
その後もトビやノスリが川の上空を横切ったり、何かは判別できない小鳥が群れをなして飛んでいたり、鳥達が元気だ。
よし、僕もそろそろ上陸だ。
しかし残念な事が続いてしまう。
常宿にしていた祥栄橋右岸の適地が草ボーボーの流木ゴロゴロ、水たまりだらけでとても泊まれたもんじゃない。
55mapにも紹介されている、左岸側の護岸にフネをつけた。
とても残念な場所である。
確かに過ごしやすいかもしれないが、焚火ができない。
流木が流れ着くような場所ではないのだ。
これでは川旅の面白みも相当減ってしまう。
いつも何人かの釣り人に会うが、この川模様だ。
釣り人もいるわけがない。
結局、スタートからゴールまで、誰に会うこともなかった。
なんだか今回は、とてもストイックなコースになっていたようだ。
死にはしなかったが、少し吹っ切れない気持ちで川を上がった。
そして翌日の川下りをする気力をなくしていた。
やる気がなくなってくればそこは底なし沼である。
フネを陸に揚げ、テントを張る。

少し歩いてコンビニで今夜のビールをキープ後、川北温泉で今日の疲れを流してしまうべくタオルを持って再び歩き出した。
やる気をなくした心を、夕焼けの景色が優しく照らしてくれる。

「うん、まぁ、タイミングが悪かった。こんなもんだろ。」
少しだけ元気を取り戻し、30分強のウォーキング。
温泉への道程を、夕焼けがおいかけてくる。

川北温泉の食堂で刺身定食を食べ、ゆっくりと風呂に入った。
キャンプ地に戻った後は、ヒマそのものであった。
いつもならここで焚火大会だが、駐車スペースの雑草が生えているような部分であるこの場所で、そんなことは出来そうに無い。
だいたいにして、木も枝も落ちてない。
ただ、橋のすぐ下で明るく、ランタンいらずだ。
今日一日を振り返りながらビールを流し込む。
ヒマなので知合いにメールを次々と送る。
この夜のメールだけで、50通を超えていた。
なんだか現代っ子っぽいな。
ビッグプッチンプリンも食べたし。
蚊がうるさくなってきたので、テントに入る。
寝入りの読書は、『哀愁の街に霧が降るのだ/椎名誠』である。
バカバカしくてどんどん読み進めてしまう、大好きな本。
いつの間にやら、寝てしまった。

翌朝、メシを食い荷物をサッサとまとめ、タクシーを呼ぶ。
運ちゃん降りてきて開口一番、
「ここに泊まったの!?!?」
そ、そんなにオカシイか?^^;
芽室駅まで乗せてもらう。
十勝川はこの日も相変わらずな水量、濁りでとうとうと流れ続けていた。
今年は川下りでなかなか気持ちいい体験ができない。
なんとか…9月の連休で取り返そうと心に決め、十勝を後にした。
***あとがき***
重い荷物を持ち、地下鉄平岸駅から自宅へ向かう道の途中、横断歩道で知らない少年に声をかけられた。
「それってどうやるの!?」
カートに詰まれた巨大なバッグからはフネとわからないはずだが、パドルを差してあるので見当がついたようだ。
僕が答えに困って苦笑いしているうちに信号が点滅し、会話にならないままその男の子は母親にうながされて僕とは反対方向に歩いていった。
フネだとわかったとたん、目がキラキラしていた。
今度どこかで会ったら、たっぷりと乗せてやるよ!
やはりフネは、最高のオモチャだ。
コドモと、コドモのような大人にね!
サックスの先生に言われたことがある。
「三浦さんは巨大な少年みたいですよね!」
ウレシイです。
褒め言葉だよね。
2006年、初めて十勝川を下った時の出発地点だ。
深い藪に閉ざされており、当時の僕をしてよくもまぁこんなところを突っ込んできたなと自分で感心する。
「と言う事は、キャンプ地の祥栄橋まであと5キロちょい…」
その距離を長いと感じるか短いと感じるか。
流速からすれば、1時間を大きく切ることだろう。
さらに危険ポイントである『新テトラの瀬』と呼ばれる落込みもこの先であるが、この水量ならば完全に消失しているはずだ。
とにかく早く陸に上がりたかった。
カヌーツーリングっていうのは、もっとゆったりと出来なければなるまい。
ツアー中のビールもこれまでの最小記録、わずか2本飲んだだけだ。
川は左へと進路を大きく変更し、東進した。
祥栄橋手前、送電線の鉄塔になにやら猛禽類がとまっているのが見えるが、遠くて逆光でよくわからない。
模様、大きさからみてオオタカのような気がする。
その後もトビやノスリが川の上空を横切ったり、何かは判別できない小鳥が群れをなして飛んでいたり、鳥達が元気だ。
よし、僕もそろそろ上陸だ。
しかし残念な事が続いてしまう。
常宿にしていた祥栄橋右岸の適地が草ボーボーの流木ゴロゴロ、水たまりだらけでとても泊まれたもんじゃない。
55mapにも紹介されている、左岸側の護岸にフネをつけた。
とても残念な場所である。
確かに過ごしやすいかもしれないが、焚火ができない。
流木が流れ着くような場所ではないのだ。
これでは川旅の面白みも相当減ってしまう。
いつも何人かの釣り人に会うが、この川模様だ。
釣り人もいるわけがない。
結局、スタートからゴールまで、誰に会うこともなかった。
なんだか今回は、とてもストイックなコースになっていたようだ。
死にはしなかったが、少し吹っ切れない気持ちで川を上がった。
そして翌日の川下りをする気力をなくしていた。
やる気がなくなってくればそこは底なし沼である。
フネを陸に揚げ、テントを張る。

少し歩いてコンビニで今夜のビールをキープ後、川北温泉で今日の疲れを流してしまうべくタオルを持って再び歩き出した。
やる気をなくした心を、夕焼けの景色が優しく照らしてくれる。

「うん、まぁ、タイミングが悪かった。こんなもんだろ。」
少しだけ元気を取り戻し、30分強のウォーキング。
温泉への道程を、夕焼けがおいかけてくる。

川北温泉の食堂で刺身定食を食べ、ゆっくりと風呂に入った。
キャンプ地に戻った後は、ヒマそのものであった。
いつもならここで焚火大会だが、駐車スペースの雑草が生えているような部分であるこの場所で、そんなことは出来そうに無い。
だいたいにして、木も枝も落ちてない。
ただ、橋のすぐ下で明るく、ランタンいらずだ。
今日一日を振り返りながらビールを流し込む。
ヒマなので知合いにメールを次々と送る。
この夜のメールだけで、50通を超えていた。
なんだか現代っ子っぽいな。
ビッグプッチンプリンも食べたし。
蚊がうるさくなってきたので、テントに入る。
寝入りの読書は、『哀愁の街に霧が降るのだ/椎名誠』である。
バカバカしくてどんどん読み進めてしまう、大好きな本。
いつの間にやら、寝てしまった。
翌朝、メシを食い荷物をサッサとまとめ、タクシーを呼ぶ。
運ちゃん降りてきて開口一番、
「ここに泊まったの!?!?」
そ、そんなにオカシイか?^^;
芽室駅まで乗せてもらう。
十勝川はこの日も相変わらずな水量、濁りでとうとうと流れ続けていた。
今年は川下りでなかなか気持ちいい体験ができない。
なんとか…9月の連休で取り返そうと心に決め、十勝を後にした。
***あとがき***
重い荷物を持ち、地下鉄平岸駅から自宅へ向かう道の途中、横断歩道で知らない少年に声をかけられた。
「それってどうやるの!?」
カートに詰まれた巨大なバッグからはフネとわからないはずだが、パドルを差してあるので見当がついたようだ。
僕が答えに困って苦笑いしているうちに信号が点滅し、会話にならないままその男の子は母親にうながされて僕とは反対方向に歩いていった。
フネだとわかったとたん、目がキラキラしていた。
今度どこかで会ったら、たっぷりと乗せてやるよ!
やはりフネは、最高のオモチャだ。
コドモと、コドモのような大人にね!
サックスの先生に言われたことがある。
「三浦さんは巨大な少年みたいですよね!」
ウレシイです。
褒め言葉だよね。
Posted by 餅 at 00:33│Comments(0)
│1008十勝川