2010年07月02日
北海道の川を旅する 《後志利別川10 前1》
病体
僕は著しく病んでいた。
この4月から技術職から営業職へ何の前触れなしにコンバートされ、変わった営業職で全く先が見えずに掴まされた物件に振り回された。
契約ができないまま納期だけがどんどん近付く。
毎日が恐さでいっぱいで、日に日にその恐さも膨れ上がり、夢にまでその事がリンクされ、まさに寝ても覚めても精神的に休まることがない期間が続いた。
せっかくカネを払って習いにいっている音楽教室も、スポーツジムもまったく行く気がしない。
しかし、6月11日が迫る。
僕は著しく病んでいた。
この4月から技術職から営業職へ何の前触れなしにコンバートされ、変わった営業職で全く先が見えずに掴まされた物件に振り回された。
契約ができないまま納期だけがどんどん近付く。
毎日が恐さでいっぱいで、日に日にその恐さも膨れ上がり、夢にまでその事がリンクされ、まさに寝ても覚めても精神的に休まることがない期間が続いた。
せっかくカネを払って習いにいっている音楽教室も、スポーツジムもまったく行く気がしない。
しかし、6月11日が迫る。
これは前出の物件で余儀なくされた休日出勤の代休日なのだ。
3連休を不安な気持ちのまま迎える。
その僕を迎えるのが道南で唯一の一級河川である後志利別川だ。
こんな精神状態ではイケナイと、自然に力を借りることにしたのだ。
僕の一番のエサは川下りである。
過去、何度も下ったやさしい川に助けを求めた。
しかしこの不安定な気持ちをもって現地へ赴いたはいいが、右往左往しやる気をなくし、結局はたいしたことをしない旅となった。
その弱りきった精神状態が生んだ、テンションの低い川旅を記録する。
晴れない心で晴れた場所へ
札幌から約180キロ、相棒のファルトボート”ボイジャー”を積み南西に進む。
美しい山容の羊蹄山を見ても、広い太平洋を眺めても、考えることはやはり仕事の事だ。
僕はこのon/offの切り替えがうまくできない。
途中の長万部で買出しをしようと計画。
スーパーを見つけたかったがなかなか良さそうな店が見つからない。
長万部をぐるぐる回って、結局入った店も中途半端な買い物しかできず、結局宿営地となる今金まで買い物をあきらめる結果となる。
デカい顔をして利別川を真ん中で堰き止めているピリカダムは、相変わらず少しの水も放出していない。
その下流側、今回下ろうと思っていたのは堰き止められた水が戻るエリアで、今まで下ったことのない区間だ。

スタートに設定したのは『新花石橋』たもと。
ここから今金市街までは約10km強の道程だ。
新花石橋たもとのスタート地点に降り立ち、ポイントの確認を行う。
草むらの途切れ目から、比較的早めの流れが見えた。
この時ばかりは心が晴れる。
あぁ、川の流れのように…
というよりは冒険前の興奮が僕を包む。
そして、ソロである。
ソロの川下りでは、死のうが生きようが誰も止める者はいない。
まったくの自由だ。
草むらにボイジャーの入ったバッグとパドルを置き、今金市街を目指して出発した。
そして食料の買出しを済ませ、住吉橋付近の野営地点まで再び上がり、そこからスタート地点の新花石橋まではおりたたみチャリでの行程を考えていた。
テントを張るのに、住吉橋付近のA地点かB地点かで迷う。
A地点は小砂利の川岸、B地点は一枚岩で、いずれもキャンプ地のロケーションとしてはハイレベルである。
B地点をうろうろしていると、地蔵が祀られている祠を発見してしまった。
沈んだ気持ちには、その場所を回避するのに十分な理由だった。
マイナス要因が僕に働き、キャンプ地をA地点に定めた。

テントを張り、ビールを出し、買ってきたトンカツ弁当をほおばる。
ふと上空に猛禽が飛んでいる。
あの翼の細さ、白さは…ミサゴではないか?

携帯のカメラではほぼ姿をとらえられない。
ミサゴは海岸に多い鳥である。
川沿いに上がってくることもあるらしいが、ここはかなりの内陸だ。
悠々と滑空するその姿に、しばらく見とれていた。
ふと我に戻り、ある事に気がついた。
このA地点、ロケーションは素晴らしい。
ヘビが川を泳いで渡る。
ついつい追いかけてカメラでパチリ。

しかし、そんな自然豊かな場所であったが、川をはさんで目の前の山が迫る。
その森の方角は西だ。
つまりこの場所は、日没が早い。
「あ…失敗した…」
沈んだ気持ちを太陽に照らされて回復させたかったのである。
「地蔵より太陽だ。」
そう決めて、いったん出した荷物を再びクルマに詰め込む。
目指すは地蔵のお膝元、B地点である。
3連休を不安な気持ちのまま迎える。
その僕を迎えるのが道南で唯一の一級河川である後志利別川だ。
こんな精神状態ではイケナイと、自然に力を借りることにしたのだ。
僕の一番のエサは川下りである。
過去、何度も下ったやさしい川に助けを求めた。
しかしこの不安定な気持ちをもって現地へ赴いたはいいが、右往左往しやる気をなくし、結局はたいしたことをしない旅となった。
その弱りきった精神状態が生んだ、テンションの低い川旅を記録する。
晴れない心で晴れた場所へ
札幌から約180キロ、相棒のファルトボート”ボイジャー”を積み南西に進む。
美しい山容の羊蹄山を見ても、広い太平洋を眺めても、考えることはやはり仕事の事だ。
僕はこのon/offの切り替えがうまくできない。
途中の長万部で買出しをしようと計画。
スーパーを見つけたかったがなかなか良さそうな店が見つからない。
長万部をぐるぐる回って、結局入った店も中途半端な買い物しかできず、結局宿営地となる今金まで買い物をあきらめる結果となる。
デカい顔をして利別川を真ん中で堰き止めているピリカダムは、相変わらず少しの水も放出していない。
その下流側、今回下ろうと思っていたのは堰き止められた水が戻るエリアで、今まで下ったことのない区間だ。

スタートに設定したのは『新花石橋』たもと。
ここから今金市街までは約10km強の道程だ。
新花石橋たもとのスタート地点に降り立ち、ポイントの確認を行う。
草むらの途切れ目から、比較的早めの流れが見えた。
この時ばかりは心が晴れる。
あぁ、川の流れのように…
というよりは冒険前の興奮が僕を包む。
そして、ソロである。
ソロの川下りでは、死のうが生きようが誰も止める者はいない。
まったくの自由だ。
草むらにボイジャーの入ったバッグとパドルを置き、今金市街を目指して出発した。
そして食料の買出しを済ませ、住吉橋付近の野営地点まで再び上がり、そこからスタート地点の新花石橋まではおりたたみチャリでの行程を考えていた。
テントを張るのに、住吉橋付近のA地点かB地点かで迷う。
A地点は小砂利の川岸、B地点は一枚岩で、いずれもキャンプ地のロケーションとしてはハイレベルである。
B地点をうろうろしていると、地蔵が祀られている祠を発見してしまった。
沈んだ気持ちには、その場所を回避するのに十分な理由だった。
マイナス要因が僕に働き、キャンプ地をA地点に定めた。

テントを張り、ビールを出し、買ってきたトンカツ弁当をほおばる。
ふと上空に猛禽が飛んでいる。
あの翼の細さ、白さは…ミサゴではないか?

携帯のカメラではほぼ姿をとらえられない。
ミサゴは海岸に多い鳥である。
川沿いに上がってくることもあるらしいが、ここはかなりの内陸だ。
悠々と滑空するその姿に、しばらく見とれていた。
ふと我に戻り、ある事に気がついた。
このA地点、ロケーションは素晴らしい。
ヘビが川を泳いで渡る。
ついつい追いかけてカメラでパチリ。

しかし、そんな自然豊かな場所であったが、川をはさんで目の前の山が迫る。
その森の方角は西だ。
つまりこの場所は、日没が早い。
「あ…失敗した…」
沈んだ気持ちを太陽に照らされて回復させたかったのである。
「地蔵より太陽だ。」
そう決めて、いったん出した荷物を再びクルマに詰め込む。
目指すは地蔵のお膝元、B地点である。
北海道の川を旅する 《後志利別川10 後4/E》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 後3》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 後2》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 後1》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 前3》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 前2》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 後3》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 後2》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 後1》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 前3》
北海道の川を旅する 《後志利別川10 前2》
Posted by 餅 at 09:30│Comments(6)
│1006後志利別川(ダブル)
この記事へのコメント
こんばんは。
傷心の川下りですか?
人は誰も弱いものだと思います。
私も仕事でいやなことがあると、いつまでもひきずってしまうほうです。
だから、そうならないようにひっそりと仕事をしています(笑)。
私はある方に生き方を教わったことがあります。
それが今でも頭の隅から離れません。
その教えとは「神を信じて生きる」ということでした。
その方は社会的に高い地位を築いた方であり、また人格者でした。
雑談の中で、神を信じて生きることはとても楽な生き方なんですよ、
と私にさりげなく話されたのでした。
以来、私は自然の中に神を探しているのです。
でも多分、見つける前に終焉を迎えそうです(笑)。
傷心の川下りですか?
人は誰も弱いものだと思います。
私も仕事でいやなことがあると、いつまでもひきずってしまうほうです。
だから、そうならないようにひっそりと仕事をしています(笑)。
私はある方に生き方を教わったことがあります。
それが今でも頭の隅から離れません。
その教えとは「神を信じて生きる」ということでした。
その方は社会的に高い地位を築いた方であり、また人格者でした。
雑談の中で、神を信じて生きることはとても楽な生き方なんですよ、
と私にさりげなく話されたのでした。
以来、私は自然の中に神を探しているのです。
でも多分、見つける前に終焉を迎えそうです(笑)。
Posted by yokappe at 2010年07月02日 22:45
なるほど。。
神か…きっと僕が求める神は水神かもしれないです。
水軍、水神を探す。
ケモノや霊的なものに怯えるキャンプは何度かあるけど、神が降りてきた事はないです。笑
日常の仕事に神を見つけられたら、信じられたらイイかもしれないですね!
あ、そう言えば僕の事を『遊びの神』とあがめてくれている人がいます。笑
神か…きっと僕が求める神は水神かもしれないです。
水軍、水神を探す。
ケモノや霊的なものに怯えるキャンプは何度かあるけど、神が降りてきた事はないです。笑
日常の仕事に神を見つけられたら、信じられたらイイかもしれないですね!
あ、そう言えば僕の事を『遊びの神』とあがめてくれている人がいます。笑
Posted by 餅 at 2010年07月03日 20:22
地蔵すか!?
ソロで!?
怖~~~!!!
ムリムリムリムリムリムリ!!
日射し我慢しましょー?
キレーなところだなあー!
こんな所でキャンプして、
昼に釣った魚を焚火で焼きながら
ダラダラ過ごせたら...。
幸せだー!!!
ソロで!?
怖~~~!!!
ムリムリムリムリムリムリ!!
日射し我慢しましょー?
キレーなところだなあー!
こんな所でキャンプして、
昼に釣った魚を焚火で焼きながら
ダラダラ過ごせたら...。
幸せだー!!!
Posted by ひでぼん at 2010年07月05日 19:21
地蔵。
地蔵、地蔵。
地蔵より太陽ですよ!!
ソロで地蔵!
ぱっと見キレイなところですが、実はダムのせいで川床は汚染物質がユラユラしてる川なんです。
残念なことに。
しかし、それいいですね!
ニジちゃんぐらいは多分上がるはずだから、夢ではないかも。
あとは釣りに興味を持つだけ!でもこれが遠いんだなぁ。。
地蔵、地蔵。
地蔵より太陽ですよ!!
ソロで地蔵!
ぱっと見キレイなところですが、実はダムのせいで川床は汚染物質がユラユラしてる川なんです。
残念なことに。
しかし、それいいですね!
ニジちゃんぐらいは多分上がるはずだから、夢ではないかも。
あとは釣りに興味を持つだけ!でもこれが遠いんだなぁ。。
Posted by 餅
at 2010年07月05日 21:39

でもね、夜にテントの周りを
うろつくような音がして
翌朝見てみたらお地蔵様の
位置がズレてた、なんて
ギャー!!!
ですよ!
考えただけでおっかない(笑)
あんま綺麗な川じゃないん
ですね。
でも餅さん釣り覚えたらキャンプ
でゆっくりする暇なくなっちゃい
ますよ!
やりたい事ありすぎで(笑)
うろつくような音がして
翌朝見てみたらお地蔵様の
位置がズレてた、なんて
ギャー!!!
ですよ!
考えただけでおっかない(笑)
あんま綺麗な川じゃないん
ですね。
でも餅さん釣り覚えたらキャンプ
でゆっくりする暇なくなっちゃい
ますよ!
やりたい事ありすぎで(笑)
Posted by ひでぼん at 2010年07月05日 22:13
いやぁ、そこ。
そこなんですよ。
釣りをイマイチ敬遠しちゃってるのは。
だって、今だって全然時間足りないっすもん。
ぼーっとするのに忙しいから。笑
そこなんですよ。
釣りをイマイチ敬遠しちゃってるのは。
だって、今だって全然時間足りないっすもん。
ぼーっとするのに忙しいから。笑
Posted by 餅
at 2010年07月06日 23:46
