2008年10月19日
北海道の川を旅する 《十勝川06 6》
2006年07月30日00:52
出発
テントの周りを歩く足音で目が覚めた。
もう外は明るくなっている。
ゆうべ外で足首をブヨに何ヶ所も刺されてかなりかゆい。
しかし昨晩、焚き火をしながら何故か爪切りをし、ほとんどの指で深爪してしまい指先が痛くて使えない…
掻きたい時に掻けない辛さを初めて体験。
「何時だろう…」と思って携帯を確認するけど、水没した携帯は一応電源は入るものの時計すら表示する余力もないみたい。
通話とかメール機能はいらないけど、カメラが使えないのが痛い。
まぁいいか。別に時間なんて気にしなくてもいいし、時計を見るのをやめた。
テントから這い出してみる。
遠くに足音の主であろう、胴長をつけた釣り人がさおを振っている。
外はなんとも脱力する天気。
どんより低く立ち込めた雲に、無風。湿度も非常に高い。
しかし今日の漕行距離は20キロを越える。
「これでは楽しくないなぁ…」
なんて思いながら昨日買ってきたおにぎりを頬張り水を飲んだ。
雨にふられると。。
20キロを雨に濡れながら漕いでいくなんて、考えただけで気が滅入る。
しかしこの荷物をまとめてここから歩き出す気にはならない。
サッサと下ってしまうことにする。
テントをたたみ、パッキングする。
歯を磨いて、準備完了。
するとさきほどの釣師がやってきて、挨拶を交わした。
50歳前後だろうか。紳士的な感じの人だ。
釣師「ずいぶん重装備ですね」
餅「そうですねー、泊まるとなると大変です。笑」
釣師「どこまで行かれるんですか?」
餅「十勝川温泉まで行きます。5時間も漕げば着くでしょうか」
釣師「そんなにかからないんじゃないかな?流れも速いし」
餅「そうですか、ここから下は釣りする方は多いんですかね?」
釣師「けっこう多いと思いますよ。両側に人がいたりね。笑。特に早朝は。」
餅「でもこの天気なんでもう出ようと思ってるんですよ。釣師の方には邪魔ですよね、カヌー。笑」
釣師「でもこういうの通った後は、意外と掛かる事が多いんですよ。」
そして、湿ったままのボイジャー号は、早朝の十勝川を滑り始めた。
「気をつけて!」
ありがとうと釣師に会釈をして、さぁ、出発。
無感情
川は昨日と同じ、とうとうと流れた。
ところどころにゆるい瀬が現れる。
試しに漕ぎ入れるけど、昨日体験した迫り来る倒木の恐怖(おおげさ)の光景が目にチラついてイマイチ乗り切れない。
天気も相変わらず、どんよりしている。
時折り釣師の姿。
思っていたよりは少ない。
そして出会っても、「すみません通りますー」の一声をこっちからかけるだけで、無反応な釣師が多かった。
楽しいかどうか聞かれたら、正直楽しくはない。
下流に車を置いているからそこまで下る、という義務感に似たものしか、この時無かった。
こうなってくると楽しみは、橋を見上げる事ぐらいなもんだ。
この先2キロおきぐらいに橋が連続して架かる。
川下りをしていると、橋の下をくぐることはちょっとしたイベントだ。
橋脚や橋梁、構造体の部分を見上げる。
その姿は、決して美しくはないが、何千トンもの荷重がかかっているであろうその部分の強度を想像すると、うちに秘めたパワーを感じることができる。
高層ビルの1階に行く機会があれば、そこにある柱にかかる力を想像すると、似た感覚になることが出来るだろう。
順調に橋を越えて行く。
中州寄りの水中に、ニジマスの死骸を見つける。
そう言えばふだんの暮らしの中でも見かける鳥などの死骸は、ほとんど見たことが無いな。
彼らは一体、どこで死んで行くのだろう。
その亡き骸は、どこにあるのだろう。
川は士狩大橋を越えたあたりから見通しもよくなり、また十分な速さで流れている。
ゴーッという水の流れの音が聞こえると、その先には瀬や急流がある。
とある分流でその音を聞いた。
見通しが良いので早めに危険を察知できる。
倒木が障害となり、急流ができているところが何ヶ所かあった。
もちろんそういう所は、避けて通る。
ひっかかると大変だ。
川は深さも増してきていて、流されるとやっかいだ。
もう、沈はできないな。
出発
テントの周りを歩く足音で目が覚めた。
もう外は明るくなっている。
ゆうべ外で足首をブヨに何ヶ所も刺されてかなりかゆい。
しかし昨晩、焚き火をしながら何故か爪切りをし、ほとんどの指で深爪してしまい指先が痛くて使えない…
掻きたい時に掻けない辛さを初めて体験。
「何時だろう…」と思って携帯を確認するけど、水没した携帯は一応電源は入るものの時計すら表示する余力もないみたい。
通話とかメール機能はいらないけど、カメラが使えないのが痛い。
まぁいいか。別に時間なんて気にしなくてもいいし、時計を見るのをやめた。
テントから這い出してみる。
遠くに足音の主であろう、胴長をつけた釣り人がさおを振っている。
外はなんとも脱力する天気。
どんより低く立ち込めた雲に、無風。湿度も非常に高い。
しかし今日の漕行距離は20キロを越える。
「これでは楽しくないなぁ…」
なんて思いながら昨日買ってきたおにぎりを頬張り水を飲んだ。
雨にふられると。。
20キロを雨に濡れながら漕いでいくなんて、考えただけで気が滅入る。
しかしこの荷物をまとめてここから歩き出す気にはならない。
サッサと下ってしまうことにする。
テントをたたみ、パッキングする。
歯を磨いて、準備完了。
するとさきほどの釣師がやってきて、挨拶を交わした。
50歳前後だろうか。紳士的な感じの人だ。
釣師「ずいぶん重装備ですね」
餅「そうですねー、泊まるとなると大変です。笑」
釣師「どこまで行かれるんですか?」
餅「十勝川温泉まで行きます。5時間も漕げば着くでしょうか」
釣師「そんなにかからないんじゃないかな?流れも速いし」
餅「そうですか、ここから下は釣りする方は多いんですかね?」
釣師「けっこう多いと思いますよ。両側に人がいたりね。笑。特に早朝は。」
餅「でもこの天気なんでもう出ようと思ってるんですよ。釣師の方には邪魔ですよね、カヌー。笑」
釣師「でもこういうの通った後は、意外と掛かる事が多いんですよ。」
そして、湿ったままのボイジャー号は、早朝の十勝川を滑り始めた。
「気をつけて!」
ありがとうと釣師に会釈をして、さぁ、出発。
無感情
川は昨日と同じ、とうとうと流れた。
ところどころにゆるい瀬が現れる。
試しに漕ぎ入れるけど、昨日体験した迫り来る倒木の恐怖(おおげさ)の光景が目にチラついてイマイチ乗り切れない。
天気も相変わらず、どんよりしている。
時折り釣師の姿。
思っていたよりは少ない。
そして出会っても、「すみません通りますー」の一声をこっちからかけるだけで、無反応な釣師が多かった。
楽しいかどうか聞かれたら、正直楽しくはない。
下流に車を置いているからそこまで下る、という義務感に似たものしか、この時無かった。
こうなってくると楽しみは、橋を見上げる事ぐらいなもんだ。
この先2キロおきぐらいに橋が連続して架かる。
川下りをしていると、橋の下をくぐることはちょっとしたイベントだ。
橋脚や橋梁、構造体の部分を見上げる。
その姿は、決して美しくはないが、何千トンもの荷重がかかっているであろうその部分の強度を想像すると、うちに秘めたパワーを感じることができる。
高層ビルの1階に行く機会があれば、そこにある柱にかかる力を想像すると、似た感覚になることが出来るだろう。
順調に橋を越えて行く。
中州寄りの水中に、ニジマスの死骸を見つける。
そう言えばふだんの暮らしの中でも見かける鳥などの死骸は、ほとんど見たことが無いな。
彼らは一体、どこで死んで行くのだろう。
その亡き骸は、どこにあるのだろう。
川は士狩大橋を越えたあたりから見通しもよくなり、また十分な速さで流れている。
ゴーッという水の流れの音が聞こえると、その先には瀬や急流がある。
とある分流でその音を聞いた。
見通しが良いので早めに危険を察知できる。
倒木が障害となり、急流ができているところが何ヶ所かあった。
もちろんそういう所は、避けて通る。
ひっかかると大変だ。
川は深さも増してきていて、流されるとやっかいだ。
もう、沈はできないな。
北海道の川を旅する 《十勝川06 7/E》
北海道の川を旅する 《十勝川06 5》
北海道の川を旅する 《十勝川06 4》
北海道の川を旅する 《十勝川06 3》
北海道の川を旅する 《十勝川06 2》
北海道の川を旅する 《十勝川06 1》
北海道の川を旅する 《十勝川06 5》
北海道の川を旅する 《十勝川06 4》
北海道の川を旅する 《十勝川06 3》
北海道の川を旅する 《十勝川06 2》
北海道の川を旅する 《十勝川06 1》
Posted by 餅 at 02:43│Comments(0)
│0607十勝川