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2009年10月04日

北海道の川を旅する《歴舟川 5》

 中流の流れ

歴舟川は日高山脈を源とし、途中ヌビナイ川、歴舟中の川などの清洌な流れを迎え入れ、大樹町だけを流れる清流だ。
その流れの中ほど、名艇ボイジャーとともに僕は下っていた。

思わずため息が出るほどの美しい流れ。

 「うわぁ…」

しばらく行くと左岸側は切り立った壁となる。
片側だけながら、感動的なゴルジュ帯だ。

 北海道の川を旅する《歴舟川 5》


岩肌には無数の流れが落ちる。

 北海道の川を旅する《歴舟川 5》

何度も行ったり来たりしながら、この景色を目に焼き付けた。

 北海道の川を旅する《歴舟川 5》

ふと後方でバシャシャッと音がした。

 「鮭だ!」

時期的に淡い期待をしていたが、思いがけない出会いにまた感動する。

カナディアンが一艇、僕を追い抜いて行った。

あまりの美しさに、川の水を飲んでみたくなり、手にすくって口に運ぶ。
水だからなんて事はないけど、特別なものを口にした気分になる。
(あまり真似しないようにね)

 北海道の川を旅する《歴舟川 5》

川底の石だってすべすべだ。
これがダム無し川のチカラなんだ。
水量はファルトの漕行にはやや少なく、何度か腹をこする。
得意技のライニングダウンも、めんどくさいがこれだけ水が綺麗だと気持ちがいい。

早くも僕の今までの川下りを、歴舟川は凌駕していた。

断続的に続く一級程度の瀬、その中で一段と激しい音が聞こえた。

広かった流れが右岸側に寄って集まり、太い流れとなり力を増しながら左カーブを作っている。
その中に少しキツい落差があって、短いけどなかなかパワフルな瀬だ。
やっかいな事に、少し上で別れた流れが、この瀬の真ん中で右側からパンチを打ってきてる!

 「よっしゃ行ったろやんけー!!」

WW指向じゃない僕にも気合いが入る。

流れ以上のスピードを保ち、艇のコントロールを失わないようにする。
バウ右側をパンチが襲う!

 「負っけへんで~!!おらおらおらおらぁー!!」

体重を右側に移しながら防御。
パンチはかなり強く、飛沫(と言うか、水のかたまり)が艇内にゴボっと入った。
空中に浮かんでいる水のかたまりを見るのはおもしろい。
それがびしゃっとコクピットに入ってくるのだ。

この名もない瀬をクリアし、思わず声を出して笑う。

 「イヤッホォゥ!最高!」

それ以外に、何て言えばいい?


 再会

瀬遊びを何度か繰り返し、歴舟をゆっくりと進んだ。
前方右岸に高く上げられたサオが見える。
川の中で初めて会う釣り人だ。
その向こう、河原に座っている二人が見えた。
先行していった親子連れのお二人だ。
向こうもこちらに気付き、立ち上がって手を振ってくれる。
岸に近付くと、へさきを持って上陸を手伝ってくれた。

 「今日のキャンプはここにされたんですね!^^」

 「大樹橋越えないあたりでね。」

僕もちょっとおじゃましてビール休憩だ。
ちょうどAさん(とする)親子は昼食の準備中だった。
ここいらで調理用の焚火を囲んで川談議である。
聞けばかなりの本数、川下りをされているそうだ。

 「今年は少ないねー、まだ3回目だもの。」

う、うらやましすぎる…

北上川でフネを流された話は面白かった。
元盛岡の住民だった僕には、面白いように情景が浮かぶ。
ダムの放水情報を調べていなかったため、岸に上げておいたフネが、買物に出たスキに流されてしまったらしい。
戻ってきたその瞬間、フネが流れていくのが見え、途方にくれたと言う。
下流で拾ってくれた人がいて、なんとか艇はなくさずに済んだとの事だった。

僕だって同じミスをしでかす可能性がある。
川の防災情報は川パドラー必須だ。

僕は今まで誰にもカヌーを教わった事がない。
今までやらかした失敗の上に、僕の川下りスタイルを徐々に打ち立てて続けている。
当たって砕けろ的な挑戦の、今まだ真っ最中なのだ。
今回、フネを流す失敗を自分ではやらずに、ひとつ勉強をさせてもらった形だ。

 「またいつかどこかで!」

初めて川下り仲間みたいな意識が生まれた、良い体験だった。
僕の出発を、Aさん親子はいつまでも手をふって見送ってくれた。

さあ、次は僕が昼飯を食べる番だぞ。


それにしても彼らのカヌーの船体にあった野田さんのサイン、羨ましかったな…



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この記事へのコメント
オハヨウゴザイマス

本格的に下り始めましたね ^^
川で出会える"仲間"ってのがまたいい感じ。
単独での川旅に良いスパイスが利いています。

元盛岡住民でしたか!
北上川はイギリス海岸から一関までが綺麗でまた、
のどかなコースですよね〜。
そこから下流は......ですが。
石巻まで繋がってるのに残念だなぁ。

野田さん、最近聞かないけど元気なんですかね?
折角だから、野田さんのサインを書いてもらったAさんに
サインを書いてもらえば良かったのに。
と、
思ってみたり(笑)
Posted by ちん婆ちん婆 at 2009年10月10日 03:39
ちん婆さん、こんちは!
旅の核心部、川下りスタートです^^
どうやら、餅旅日記史上最長になりそうです。

Aさんのサインを船体に!
全く意味不明ですが、ものすごく誇らしげな態度をとっていれば、サマになる気もしますね。笑

野田さん、だいぶ無理はきかなくなってきたみたいですが、恒例イベントはきっちりこなされてるみたいですよ。
来年5月は、僕も那珂川に行って野田さんに会ってきたいと思ってます!

あ、来年なんて…うちの嫁、いや、鬼が笑いますね。
Posted by 餅 at 2009年10月10日 21:55
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