北海道の川を旅する 《後志利別川10 後3》
女子の効果
正直、お手上げなのである。
次回の参加予定女子の話(妄想)を延々と何時間も語り続け、『この時はこれで、絶対惚れるよなー!!!』『いやいや、俺はこうしますよ!!』『ちょぉっと待て、お前それはズルいぞ』『いいじゃないですか、そっちは○○ちゃんで…』なんて会話が続きに続いたのである。
(”これ”とか”それ”は、具体的に書けないのである)
眠れるワケがない。
興奮はソロテントに潜り込んでからも続いていた。
後志利別川は、なんとなく瀬音を立てて流れ続けた。
何一つ、気にならなかった。
こんな夜は、初めてである。
翌朝は目覚めとともに女子の会話が続いた。
ひどいというか、バカ丸出しである。
誰にもそんな会話は聞かせられないし、書くことも不可能だ。
これが男の世界の本質なのだ。
従って、こんなのどかな場所で自然を満喫していても
こんな誰も来ないようなところに、こんなカンバンが立ててあっても
いや、そうではない。
『川がすき…』
本当にそう思うなら、こんなバカげたカンバンを立てるなと言いたいのである。
なんぼ遣ってんだよ、このカンバンに…
普段なら行政のアホさ加減を思い切り批判するのだが、今回は説得力がない。
さて、時は翌日。
僕はクルマをゴール地点にデポジッて、バスで再びキャンプ地に戻ってきた。
長い漕行の始まりである。
キャンプ地で練習。
二人で漕ぐということは、漕いでいる姿を写真に撮れるチャンスなのだ。
今まで僕は何度も何度も川下りをしたが、漕いでいる自分の姿を川で写真に収められたのは初めてである。
しかしこの時も、会話は確実に女子話なのであった。
long way to
ゴールは遠い。
その間の会話は想像がつくと思うので、特に書き入れないこととする。
我々はゴールの今金町市街地に向け、それぞれの艇を出した。
広い空の下、川は浅く広く流れる。
後志利別川という川は、思い切りトロトロの流れであるか、一瞬ワッと発生してくる瀬か、どちらかの流れしかない。
川が流れのサイドチェンジを行う時、かならずその瀬は現れ、河岸の木を何本かなぎ倒している。
岸から幹を真横に伸ばしてなお踏ん張っている木は、非常に危険なストレーナーである。
流れを読めず流されると、この幹の餌食となって沈は免れない。
どの川でも言える事であるが、流れの中でストップやバックが出来ないと、悲惨な結果が待っている。
後志利別川は、とうとうとした流れが無い川であるので、このコントロールはさほど困難ではない。
また、たまに現れる普通の瀬を通過する際、水深が浅いために僕のボイジャーはひっかかりまくり、M野氏のシットオンは川底をガリガリやりながら流れた。
もし僕が前を漕いでいたら、ザラ瀬の中で追突されてしまう。
衝突は面倒くさいので、いつの間にか僕は先行する立場をM野氏に任せていた。
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