北海道の川を旅する 《後志利別川10 後1》

2010年07月23日 14:18

 再び後志利別川へ

2週間前に陰気な川ソロキャンをやり、水のお陰で見事に復活した僕であった。
陽気にやろーぜぃ。
楽しいことは多い方がイイに決まってる。
今年2度目の後志利別川は、会社の先輩M野氏とのタンデム行だが、今までのタンデム行とは違う事がある。
2艇なのだ!やった!
これこれ。
これをやりたかったんだ。
2人艇でのタンデムは何度も経験したけど、面白くなくはなくむしろまぁ面白いんだけど、一人1艇で行く川旅に憧れ続けていたわけだ。
それには手っ取り早くカヌークラブとかに属すのがいいんだろうが…
僕もカヌーを始めた最初の頃はそういうクラブに入ろうと思ってはいたのだけれど。

じゃまくさ…

そういったクラブの約款なんかを読むと、やたら堅い事が書かれていて、どうも僕の美学とは明らかに違うようなのだ。
そして操船技術や川の知識を、本や体当たりで独学で学んできた。
基本的に僕は、やりたいことを誰かに教わってやるのが嫌いなのである。
これはうちの子ノエにも伝染しており、『教えてもらう』という行為を極端に嫌う。
でもこれ、あくまでも”やりたいこと”に限定されており、”やりたくないこと”に対しては極めて受動的な態度になってしまう。
仕事が良い例だ。
僕の仕事に対するスタンスはまた別な機会に触れるとして、脱線してしまった話を元に戻そう。

そう、二人で2艇で川下り。
これなんである。

M野氏はシットオントップを去年購入し、主に海で釣りをしながら遊んでいる。
あまりシットオンで川下りをした人の話を聞かないが、少し前にソロで彼のシットオンを操船した時、意外にこれはイケルのではないかと思った。
取り回しがフネの重量に比してラクであることと、なんと言ってもポリ艇の一種だから、岩系の障害物にめっぽう強いはずである。
そう判断すると、一緒に川下りに行く計画に夢中になった。
そして再び、後志利別川へとやってきたのである。


 今金町

屋根にシットオン、後部には僕のファルトの計2艇を乗せたM野氏のクルマは、通りなれた国道を突き進み、住吉橋に到着した。
キャンプ地候補のA地点、B地点の選択を、前回同様に行う。
ロケーションの素敵さにM野氏はB地点を希望。
対岸に迫った山のせいで陽は早く落ちるものの、ヘアピンした川に囲まれ、目の前に淵と瀬があり、ちいさな砂利が広がる好立地である。

 

キャンプ地を決めると、ひとまず買い出しとランチのために今金町の中心部へ向かう。
妙にシャレた店で普通のメシを食い、狂乱的に繰り広げられるであろう今宵のバカ騒ぎパーティーの酒とつまみを購入して再びキャンプ地へ。
最近、二人の中でプチブームである『ソロテント2基』設営である。

A地点の上流側約300mほどの距離に頭首工がある。

 

この頭首工の更に上流側は、かなり広大なバックウォーターになっており、その静水はパドルワークの練習に最適だ。
ここでストップやバックなど、川の流れの中ではかなり重要になる操作をM野氏に教えようと思っていた。
が、いざこの頭首工から漕ぎ出してビールでカンパイしてみると…
濃密な自然と、はるか上を滑空する猛禽類(トビだけど)に目を奪われる。
なんと美しい自然だろう。
これが頭首工という人工物によって作られた場所だとしても…
ビールの力も借り出したので、そんなことはあまり気にしなくなってきていたし、練習なんてめんどくさくなっていた。

 

話しながら、歌いながら、笑いながら、時に現れる中州で二手に別れ漕ぎ進みながら。
一応、ここは川であるが、やっている行為は『川上り』である。

 「流れが出てくるところまで上ろう」

と話し合っていたが、静水域は非常に長い。
湖を漕いでいるのと変わらない。
つまり、ダルくなってくるのだ。
崖に、ちょっと面白い自然の造形があったりして面白いのは面白いのだが。

 

やはり僕は、水に流れのある中でフネを進めるのが好きだ。
もう少し先にその流れがあるのに、この静水で遊んで過ごすのはホドホドにしておきたいのである。
漕ぎ出した頭首工を目指し、戻る。
一応これが川下りである。
そして頭首工をポーテージする。
これがけっこうキツい。
ソロだとかなり手を焼く場所になるだろう。
頭首工の下はしばらく荒れる。
フネはそのままライニングダウンで川を歩いて進む。
6月の北海道にしては気温も高く、冷たい水が常に足元にあり、非常に快適な歩きであった。


あなたにおススメの記事
関連記事