北海道の川を旅する 《後志利別川10 前2》
強引的場所移動
間もなく日陰になると思われるB地点から、地蔵がそばにあるものの日差しが最後まで続きそうなA地点へ移動する。
小物はクルマに積んで移動できたが、テントをどうしようかと迷った末、組みあがったまま持ち上げてそのままかついで歩き移動。
時間はもうすでに2時を回っている。
もしこれから出発地点に定めた『新花石橋』まで行き、そこから下ってA地点まで行こうとすると…
チャリ移動30分、組立て40分、川下りが多分順調にいって2時間半ぐらいかと。
思いっきり日暮れ時になってしまう。
ダメだ、こりゃダメだ。
そのままフネとパドルを新花石橋に放りっぱなしというのも問題があるので、撤収のため移動する。
なんて無駄な時間なんだ。
食材、荷物、場所、フネ、全て落着いたのは結局4時頃。
ようやく自由時間なのである。
しかしながら諸業務による拘束時間は、全て自分が生んだ結果である。
さみし。
遊ぶ時間を極力多くとりたかった。
遊ぶといえば、僕の宝物のひとつ、サックス。
それを取り出して、一枚岩の上でヘタクソに吹こうではないか。
ただこのA地点、意外と民家が近くてあまり派手にやらかしていると迷惑がかかるだろうから、夕方の時間帯に比較的小さな音で。
うぁぁ、ストレス。
まぁ、いいや。
なんだかテンションも上がってきてる。
おだやかな景色を見せる自然と、メロディを奏でる楽器に、ようやく心も上向き加減だ。
しかしせっかくフネもあることだし、ちょっと川遊びもしたい。
住吉橋直下、1級の短い瀬に乗り出した。
「うっひょぉぉぉいい!!!」
波に乗るボイジャー、そのまま瀬の上を難なく滑っていく。
瀬を抜けた後、右岸へのエディインから回転し上流側を向く。
フェリーでふたたび瀬の中へ。
水流に負ける!
「負けるかいオラオラ!!」
右を激しく掻く!
しかし、負け。
再度チャレンジ。
今度は入射角を鋭角にしてのフェリーグライドだ。
「うわっほぉ!!」
今度はうまくいき、しばしサーフィンを楽しむ。
はじける水飛沫が心地いい。
しばらく遊んだあと、ボイジャーを引き上げてテントのそばに戻った。
もう、ほぼいつもの僕。
やっぱり水は、僕の味方だ。
一人の夜
焚火にかけたナベがシューシューいっている。
おにぎりとどんべえうどんで腹を満たした。
星もきれいだ。
地蔵が多少、気になるが極力気にしないように焚火と戯れる。
大音量のサックスは吹けないから、復音ハーモニカを取り出す。
いつもながらの動揺オンパレード。
いつしか空を見上げる顔に、微笑が混じっている事に気がついた。
ありがとうな、利別川。
そうなるといつものソロ行焚火的過去恋愛懐古である。
焚火に向かってラブソングを口ずさむ。
地蔵よ、まぁ聞いてくれよ。
楽しい恋愛だったんだよ。。。
誰よ~り~ 好きなのにぃ~
こーいーしちゃったんだぁ 多分気付いてないでしょおお~
僕が歌うラブソングというのは、ほとんど全て、古くも新しくも女性の曲である。
ストイックなソロ行に、女性ラブソングは、不思議と似合うのである。
いいだけ疲れた。
地蔵の祠から、何も出てこないことを祈ろう。
歯を磨き、川の水で顔を洗って、就寝。
おやすみなさい。。
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