北海道の川を旅する 《後志利別川10 後2》

2010年07月31日 23:57

 下りに突入

前出の頭首工から下を歩き、我々は住吉橋上流すぐのA地点へとやってきた。
ここからいよいよ、本格的な川の流れに突入だ。

まずは青いシットオンと赤いファルトで記念撮影。

  

A地点から住吉橋をくぐった直下には1級+の短い瀬が待ち受ける。

 

M野氏とともに、橋に上がってスカウディング。
本流を読んで、コースをイメージして、頭に叩き込むことを教える。
僕はここを何度も下って知っているが、知らないと脇の岩にひっかかり、横転沈である。
しかし、細かく説明するのもめんどくさいので、

 「おれのルートに、ついて来てください!」

で最終的には終わらせてしまった。
川下り初体験の人に、瀬に突っ込む時のアドバイスとしては最良の一言である。
一枚岩の出艇場所に戻り、ストリームインでの出艇方法を教える。
これすら教えないと、本流になかなか乗っかれず、エディでじたばたしたままガタガタの岩にひっかかって終わりである。

 「よっしゃ行きましょう!」

僕のボイジャーを先頭にして、いよいよ下りスタートだ。
削られた岩盤によって本流が流れる、不自然なカーブを曲がりこんだところで落込み&瀬だ。

 「イィヤッホゥ!!!」

いかん、思わずパドルを上げて瀬を渡ってしまった。
これは間違った見本である。
これではまるで、デズニーランドのアトラクションではないか。
後ろを見ると、その僕の余計な行動をもトレースするかのように、さっき初めて水流を経験したばかりのM野氏もパドルを上げてイヤッホゥと叫んでいる。

まぁ、いいか。
シットオンは横幅も広く、ちょっとやそっとじゃ沈しないだろう。
”海の子”M野氏も顔をボロボロにほころばせて瀬を楽しんでいた。

面白いので、瀬の隣にある淵からフネを上げて少し上に運び、もう一回瀬に突入した。

川下りが始まった。
前方はしばらくトロトロが続く。
M野氏に先行させ、僕は2艇で行く痛快さを写真に収める。

 

M野氏はブルースハープを取り出し、ビバルディの『春』を川の上で吹き放している。
いいぞいいぞ。
この日の中継地点キャンプ地はB地点。
ほんの500メートルほど。

あらかじめB地点にはクルマを置いており、キャンプ道具が積み込んである。
ここで最近のM野氏と僕の間で流行している『ソロテント×2』の設営を行った。

 


 キャンプ・イン

しかしこのB地点、驚くほどに流木が無い。
後志利別川の川原におおむね共通して言えることは、流木がとても少ないという事。
これは他の川原まで出張して焚き木を確保する必要があるようだ。

設営が終了し、ほどなく焚き木拾いのためにボイジャーを出動させた。
下流の川原まで行って流木を拾い集める大胆な作戦である。
300mほど下流まで出張。
なんとか一晩分の焚き木を確保した。
ふと、M野氏も青いシットオンで下流までやってきた!
ヒマだったらしい。
ひとまず、本流を思いっきり上がるよりも岸づたいを行った方がラクに漕ぎ上がれるとだけ言い残して、僕は先にキャンプ地に戻った。
ものすごく無責任である。
その結果、M野氏はなかなか戻ってこない。
スローロープを持って再度下流へと漕ぎ出す。
途中で疲労困憊しているM野氏発見、少しホッとする。

 餅「ダイジョブっすか~!?」
 M「あぁあああぁぁ、でも川の力ってすげぇな」

聞けば艇のコントロールが出来ず、僕が『この辺が限界だな』と思った川原よりずっと下に流されて漕ぐ力では水流に負けて上がってこれず、結局曳いてきたらしい。
結局、何も落としたり失くしたりしていないので万事OK。
なくしてしまった体力は、酒で補えば良いのである。
なくしてしまった気力は、好きな事やってれば回復早いのである。

 

酒、キャンプ、カヌー、サックス。
これ以上、僕は何を望めばいい?

あぁぁ、そうだ、『上達』を望むべきなのだ…


この夜はインスタント食材で宴会開始。
無人の川原に、ヘタクソなサックスと歌声が響き渡り、また、重要な会議が繰り広げられた。

我々の強引なキャンプ。
まったく女子ウケなどしないような小汚いワイルドキャンプに、その女子という人種が参加してくれると言う話があるのだ。
それは次回の積丹キャンプで予定される。
非常に重要である。
更に重要であるのは、およそ100人ほどいるわが社の中でも、人気度1,2,3フィニッシュするようなキラメク女子達なのである。
非常に重要である。
『その女子達の心をいかにして掴むか』争点はまさにそこであった。
いつもは夜8時半ともなれば睡眠時間に入るM野氏も、この重要な会議キャンプに限っては、10時半まで起きていたというから、その重要度は我々の歴史の中でも、最も最高点に達していると判断できるのだ。

結局、女子の話ばかりをし、後志利別川が提供してくれている自然の恵みにはまったく気がつかないまま終了したのであった。


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