2011 夏至の旅 06/E

2011年10月29日 17:15

前半戦に力を込めすぎた川下りを終え、我々は待ちわびた浜大樹に到着した。
ずぶぬれ、浜の砂地に上がって砂だらけの僕。
力は出し尽くしていた。
せめてウィンドブレーカーの一枚でもあれば、ここまで消費していることは無かったであろう。
しかし、寒い川から上がっても、もうほとんど粒になりそうな霧は降り続いた。
座っていなければ、チェアの座面にも水が溜まる勢いだ。
キタキツネも遊びにやってくる霧の中、テントの中にしまっておいたサラサラの服に着替え、天にも昇る気分である。

 

フネは乾かしてから撤収するつもりであったが、いっこうに晴れる気配はない。
川水に濡れたまま、霧によって水滴にさらされている。
明日まで回復しないと判断。
濡れたままフネをパッキングして車に積み込む。
明日の朝は早く出発するのだ。
撤収物は少ないほうがいい。

M野氏は釣りに出かけた。
そして結果を出す男、彼は見事に魚をゲットしてきたのである。
しかし釣った魚の名前がわからない。
なんとなく気持ち悪いその魚、僕はウグイじゃないのか?と思ったがM野氏はサクラマスだと言い張る。
僕も魚には興味が無い。
M野氏はその魚を焚き火にさらしながら食うと言い出した。
ちなみにこの魚、何でしょう…?

 

前の晩、深夜に到着していたために宴会的な盛り上がりに欠けていた。
だから、この夜に飲めや歌えやの大宴会をやろうと言っていたのだが、僕もM野氏も疲労困ぱいしている。
昨日と同じように焚き火をしても、人間に勢いが無い。

 

得意の合唱も声を潜め、季節のうつろいと同じぐらい静かにしかし確実に、その夜我々は互いのソロテントに入ったのであった。

2011年歴舟の川下りは、この浜大樹に轟く太平洋の波音と、われわれのイビキの音とともに、闇に葬られていくように終了したのであった。



翌日、最終日。
この日は僕もM野氏も有給を取得しており休みである。
大樹→札幌への帰り道旅。
最終的に僕らのベースとなった浜大樹に感謝。
雰囲気が超然とし過ぎていて、一人で泊まるにはちょっと不安感がある場所だが、二人でバカ騒ぎするには最適、そんな場所であった。
前日の夕方に見つけた我々の『ご神木』。

 

この旅の守り神である。

神仏やらなんやら、信じたり崇拝していたりする方ではないが、僕らを遊ばせてくれた川、海、大地の自然に感謝し、なんとなく手を合わせた。

そして僕らは、この浜を去るのであった。

 


おしまい。

 










・おまけ

wetのままフネを持って帰ってきてしまっては大変なのだ。
特に僕はマンション住まい。
干す場所が無いのである。
仕方なく駐車場に、こんな感じで広げて乾かしました。
でもやはり、長年濡らして畳んでを繰り返していると、その姿は発見できないけどカビくさいんだよね。。

 

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