2011 夏至の旅 01

2011年08月09日 23:24

2011年、夏至の旅。
ドラマチックである。
一年中で最も昼の時間の長いこの時期に、大好きな歴舟川を訪れた記録を連ねよう。


 6月18日(土)

この日は日中、休日出勤であった。
某イベントがあり、会社の車で現地へ直行。
社用車の中には、ザックにつつまれた我が愛艇ボイジャー460T、2泊3日の荷物を詰め込んだダッフルバッグ、そしてパドル。
誰の目にも遊ぶ気マンマンに映るはずなのである。
そしてそれは紛れも無く正解である。
遊ぶ気マンマンで、休日出勤だ。
某所でのイベントも終わり、社用車に乗り込む。
車の中ですでに絶叫&シャウトの僕。
助手席に座った会社の女の子は、若干引いていた。
彼女を送り届け、この旅の同行者であるM野氏の家に向かう。
彼の家に到着すると、すでにM野氏もニヤけていた。

 「よっしゃ行くぜい!!」

M野氏の車に乗り換え、早速エロトークモード全開だ。
BGMはROCK YOUR BABYだ。
イントロで何ともいい単語を発している。
出発は18:30であった。
目指すは十勝。
大樹町浜大樹である。
そこは歴舟川河口のある場所、つまり川旅のゴールだ。
一般道から道東自動車道へ。
この日、高速無料社会化実験の最終日であった。
芽室ICでおり、ひとまず川北温泉へ向かう。
ここは僕の十勝川川下りツアーでも使うお風呂だ。
勤労の汗を気持ちよく流し、アイスを食べながら再度出発。
大樹町に到着したころには、時刻はすでに12時をまわっていた。
軽く雨が降ったのか、道路は湿潤状態である。
大樹町市街のコンビニで晩飯を調達する。
以前訪れた記憶を頼りに、曇天のため月すら出ない真っ暗闇の中、歴舟川河口を目指す。

ようやくキャンプ地に到着したころには、時刻は1時であった。
真っ暗闇の中、2基のソロテントを設営する。
テーブルとイスも出し、海がかろうじて確認できる程度の視界の中、遅すぎる晩飯準備は進行した。
浜大樹はものすごい場所である。
何がすごいかって、その圧倒的に荒涼とした空気感、そしておびただしい流木の数だ。
一抱えすると、着火用の細い枝から、キャンプファイヤーにも耐えうるような幹まで手に入る。
我々はほんの2回ほど焚き火の準備をするだけで、相当な量の焚き木を確保することが出来た。
焚き火をおこし、インスタントの晩飯とビールで夜会の幕開けである。

 

この火がどのくらいの大きさかわかるだろうか。

 

最大で、炎は3メーターの高さまで舞い上がった。
すでに焚き火ではなく、キャンプファイヤーである。
M野氏とWE ARE THE WORLDを歌って盛り上がる。
スティーブペリー、シンディローパー、ブルーススプリングスティーンは欠かせない僕のパートだ。
僕とM野氏が足繁くすすきののスナックやカラオケボックスに通うのは、こういう時の完成度の高さを目指すための練習なのである。
こういう寂しい夜にはバラードも必要だ。
プリンセスプリンセスの名曲『M』も我々のレパートリーのひとつ。
今年は当別町あたりの夏祭りカラオケ大会に乱入し、商品の旅行券をかっさらうつもりだ。
大いにもりあがっていたが、夏至の力だ。
周りがだんだんと明るくなり、浜大樹が全貌を見せつけ始めた。

 

 『何も無い』

そんな言葉は、浜大樹にやってくるとイヤというほど味わえるはずだ。
そしてそれは、とてつもない寂しさを感じさせる。
我々の酔っ払いパワーも、終息に近づいてきた。
寝なければなるまい。

 

M野氏がテントに入った後も、僕はしばらく荒い波の海を眺めていた。
かつて歴舟川を下り終えかけていた僕を、震え上がらせた荒波だ。

 

翌日(というか、当日)は大樹橋からスタートし、この浜に戻ってくる。
僕のズボンのポケットには、たばことライター、携帯用の灰皿、携帯電話。
テーブルの上にはビール。
この景色の中に存在するのに、必要なものはすべて手の届くところにある。
この充足感は、なかなか他に替えられるものでは無い。

あなたにおススメの記事
関連記事