北海道の川を旅する《歴舟川 4》

2009年10月03日 01:19

 出発の朝

ずいぶん遅く起きた。
小用の限界まで寝袋から出たくなかった。
寒かったので夜中に何度も目が覚めたのである。

テントから這い出すと、すでに昨日の親子連れは出発の準備をしている。

 「おはようございます!」

挨拶は元気良く!!
旅の予定を聞いたり。そしてしばらく話し込む。
川旅の終了は、河口でキャンプ一泊、翌日にタクシーに迎えに来てもらうのだそうだ。
あのキラキラした河口で一泊、かぁ。
羨ましく思いつつ、僕には僕の旅があると改めて感じる。
シルバーウィークの5連休(サービス業の方、ホントすみません)、前半は歴舟川、後半はある恩人と合流して積丹でシーカヤックの予定である。

簡単な朝食をとり(全ての食事が簡単なのだ)、一服する。

 



この前、子供と旭川のホテルに泊まった時にもらってきたティーバックで緑茶を飲む。
ほっと一息。

 

実は、『雪峰』(僕の完璧なモノボレグッズ:チタンの中空構造により、熱いものを入れても冷めにくく、かつカップ表面は熱くならない)を写真に収めたかったから理由をつけただけだったり。

そうこうしているうちに、親子連れが出発する。
今日は大樹橋(ここから下流約10キロ地点)までも下らず、少し上流で川原を見つけて一泊するのだと言う。

 「じゃぁ、また後ほど!!」

なんだか初めて同士を見つけた気分、そしてその同士を送り出して行く気分。
無事を祈らずにはいられない。
お願いをして、離岸を写真に撮らせてもらった。

 

清流に浮かび、流れていく旅慣れた赤いファルト。
キレイだ。

お父さんは神居大橋の橋脚部辺りで、すぐに現れるザラ瀬を確認するために後席で立ち上がり、行く手を決めている。
まさに勇壮である。

ザラ瀬を難なく乗り切っていった彼らを見送った後、自然と気合が入る。
僕もこの旅最も信頼しているパートナー、『ボイジャー460T』を組み立てに入った。


 歴舟川へ

更に気持ちを盛り上げるため、昨日に引き続き『股旅/奥田民生』をウォークマンで聞きながらパートナーをカタチにしていく。

完璧に組みあがったボイジャーを川原へと運び、続いてキャンプ撤収したグッズをnorth faceのダッフル(僕の完全なモノボレグッズ:ファルトの胴体にマッチする形状だ)に詰め込んで運び、ボイジャーに積み込む。

 「行こうぜボイジャー、歴舟だぞっ!」

  

清流を浴びるボイジャー。
その舳先にビールをかける。
僕の川旅の幕開けの儀式だ。

カムイコタンキャンプ場、11時。
僕とボイジャーは、ストリームアウトで歴舟の本流に乗った。

 「よっしゃ行くぜい!!」

神居大橋を過ぎると最初にザラ瀬が待っている。
さきほどのお父さんが艇の上で立って先を確認していたが、艇に装着したコーミングカバーのせいで僕は立つことができない。
というか、僕は立ったことが無いし、立とうとは思わない。立ったら絶対沈だ。

実はファルトの艇上で立った人を見たのは初めてだった。

ザラ瀬。
隠れ岩なんて言葉は歴舟には存在しない。
透明な水のおかげで水中の岩が全て見えるのだ。
おまけに歴舟の川底には白っぽい石が多い。
川全体が、明るい感じだ。

 「おらっ、おらっ、おらぁあ!」

瀬で飛び散った水が跳ねる。
パドルでかいた水が跳ねる。
水中の岩を避けながらの楽しいパドリング。

この先の旅も、どうやら痛快なことは間違いなさそうで、僕の顔はゆるみっぱなしなのであった。


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