四国の川を旅する《仁淀川 3》

2016年07月02日 12:34

翌朝、朝食用に買っておいたサバの姿寿司を食べ、ホテルを出た。
帯屋町アーケード、駅前の国道を歩き高知駅へと向かう。
昨夜見た高知橋は、爽やかな空気に包まれ、朝の景色に変わっていた。



高知駅には偉大な3人の先生がお立ちである。
僕だって平岸では巨人とあがめられる人物だ。
対等に並んで写真を撮る。
観光ちっくで良いではないか。



土讃線の鈍行に乗りこみ佐川を目指す。
わざとゆっくり移動するのだ。
途中駅のローカルなムード漂う小さな駅舎とそのホームは否が応でも旅情感があふれてくる。
1時間ほどで到着した佐川駅から、川旅の出発地点となる宮ノ前公園のある越知町まではバス移動だ。
普段は地元のお年寄りしか利用していないような雰囲気。
いや、過疎の町には若者がいないのだ。
こんなにおだやかで素敵な町なのに…
代わりに僕がそこに住み…いや、そうはならないよな。
僕の人生にとって必要な『ススキノ』という存在が、札幌にはあるのである。

宮ノ前公園に到着した。
ボイジャーがお昼にここまで配達される予定だ。
その前に越知町の中心部まで出て、ビールと昼メシを買うつもりでいた。
地図上で、公園と中心部が近いことを確認していたのだ。
しかしここでショックなことが判明する。
地図上で結ばれていたはずの、県道と公園を通る道が、繋がっていない…
県道は、公園の道のはるか上。
橋になっていたのだ。

参った。



手元には、昨晩物珍しさで買った"ぼうしパン"がひとつあるだけだ。
仕方が無い、ぼうしパンを本日のランチとする。
考えてみれば昨夜はカツオのタタキ、清水サバの刺身、あおさのりの天ぷら、高知名物屋台餃子、鯨にドロメに四万十鶏の唐揚げが並んでいた。
この昼は、ぼうしパン…
むなしさ全開でぼうしパンにかぶりついたのであった。



その夜、黒瀬キャンプ場で合流してくれる岡山のいとこ家族のTちゃんにメール。
ごめんなさい、ビールを多めに買ってきてくださいm(_ _)m

ほどなくゆうパックで送られてきたボイジャーとキャンプ道具が公園に配達された。
ビールが手元に無いと思うと余計に飲みたくなる。
この日の目的地、黒瀬キャンプ場まで猛スピードで漕がなければなるまい。
四国の日差しに照らされ汗だくになりながら急ぎ艇を組み立て、荷物を防水パッキングした。



宮ノ前公園の川岸は親水化され、水路を進み、本流に合流してゆく格好だ。
キャンプ道具と、40代中年オヤジを乗せたボイジャーがようやく水路に乗る!
札幌からやってきた我がボイジャーが、高知の仁淀川に浮かぶ感動の瞬間である。
乗り込む僕も、2016年は初めての川下り、初操船となる。
腕は落ちてないか?
合流点でバウを少し上流側に向け、仁淀川の本流にエントリーした。
艇をきっちりとコントロール出来ている。
流れに対するフネの針路は、自分が頭に描いていた場所をしっかりとトレースしている。
パドルを握る手が力み、喜びに震えた。

少し進んだところでいきなり落ち込みが登場。
危険度は決して高くないが、どんと落ちた後、真ん前にドデンと岩が立ちはだかり、水流のスピードとコースどりに正確なパドルコントロールが要求される。
これを切り抜け、ひときわ大きくニヤリとする。

「仁淀川、よろしく!!」
奇妙な形をした横倉山も、どうやら僕を見送ってくれたようである。



平岸水軍2度目の高知出張、ビールが無くて出発の儀式は出来なかったが、今ここに仁淀川の旅がスタートしたのだ!!


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