現代にあって人間味があるというか、見慣れた安心感があるというか。
遊びが無くていい。
機能美だよ。function is beauty だよ。
橋は別にカッコよくなくていい。
10:02。平原大橋が見えた。
新帯広川を迎えた十勝川は、どんどん川幅が広くなり、流速も落ちてくる。
然別川が合流する近辺ではボイルが出るが、さっきの難儀に比べたらボイルなんてなんとも思わない。
そろそろ帯広市の都心部に入って来ているのだろう。
工場が左岸に見える。
排水が、おそらくこの十勝川に流れ込んでいるはずだ。
10:22。すずらん大橋。もう数百メートル先に十勝大橋も見える。
なんだか少しせつない。
ゴール地点も見えてきた。
今年の十勝川は、僕を大いに楽しませてくれた。
いいコース。
僕の腕なら、この程度が遊べて楽しめる範囲なんだろうな。
途中、数人の釣師と会話をしながら、ボイジャー号と僕はゴールである十勝大橋に到着した。
ここはゴール適地ではない。
フネを上げようとした十勝川インフォメーションセンター付近の川岸は、キレイに小さな岸壁が形成されており、ドライアウトじゃないと降りられない。
オマケにものすごい汚染物質が川面にプカプカ浮いていて、後味の悪いことといったらこの上ない。
でも上げるしかない…
ものすごく苦労してフネと荷物を上げた後がまたひどかった。
インフォメーションセンターまで、親水公園化された場所を坂を上がりながら荷物とフネを運ぶ。
滝のように汗が流れ、何度も休憩しては水道の水をガブ飲みし、何度も運搬で行き来した。
猛烈に疲れた。気温31度。
また来るぜ十勝川
インフォメーションセンター前の堤防の道は便利だ。
ベンチで休憩をし、フネを洗える水道もある。
カラリと晴れた帯広の空気は、洗ったフネもすぐに乾かしてくれた。
フネをバッグにしまい、荷物をすべてパッキングする。
来年もまた下るぞ。よろしく。
タクシーを呼び、帯広駅へ。
午後一番の特急に乗れる時間だ。
昼飯をどこかで食べている時間は無いので、電車の中で弁当でも買うことにする。
大荷物を持って、駅の構内をうろうろするのはものすごく疲れる行為である。
ホームにたどりついたとたんにまた汗が噴き出す。
乗り込んだ電車のクーラーがなんと快適であったことか。
座ったシートの、これまたなんと快適なことか。
自然もいいけど、公共交通機関も捨てたもんじゃない…
などと思っていたら、衝撃のアナウンスが出発直後の電車内に響き渡る。
「本日、お弁当は、全て売り切れとなっております、
ご了承下さいませ。」
なんやねんそれ!?ご了承できるか!!
なんで発車したばっかりの電車で弁当が売り切れなんじゃ!!!
仕方なく、空腹のまま緑茶でガマン。長い時間だった。
帰りは札幌駅まで大奥様に迎えに来てもらった。
当然、ノエも一緒に来ている。
改札口で、すぐに僕とわかったのだろう。
笑顔で手をふっている姿がなんだかジーンとくる。
自然にたくさん遊んでもらったから、今度はノエとたくさん遊んでやろう。
オシャレした人々が行き交う札幌駅構内、長靴にこの大荷物。誰かと間違うワケないよな。
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北海道の川を旅する《十勝川リベンジ》 あとがき
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今回は非常に楽しめた単独行でした。
また来年、十勝川を下りたい。
やっぱり夏ですね夏。
ちなみに今、この文章を作っている部屋は気温11.5度。
しかしこの夏の出来事を思い出していると、気分は夏に戻れるのです…
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