北海道の川を旅する 《後志利別川06 3》
2006年10月10日23:47
後志利別川
長万部岳を水源とした後志利別川は、美利河ダムで堰き止められた後、山間を流下し今金町住吉で平野部に出て、瀬棚町で日本海に注ぐ、全長75キロの道南で唯一の一級河川だ。
国土交通省が行う水質調査では過去数回、『清流日本一』の座についている。
その川が、目の前にあった。
清流とは、とても呼べない流れだった。
川の水は茶色く濁り、ふとした瞬間に、ドブ川の異臭すら感じる。
しかし、出発前の興奮は僕らを包み込み、用意の手を急がせた。
KKとライフジャケットを身に付け、準備を整える。
スタートから数十メートルの地点には、お楽しみの1級プラスの瀬が。
まずは僕が一人で漕ぎ出して小手調べだ。
タンデム(2人乗り)仕様の我がカヌー”ボイジャー号”に一人で乗ると、バウ(船首側)側の妙な浮力でバランスが非常に悪い。
バウが妙に浮いてひっくり返りそうになりながら、瀬をクリア。
「ヒャッホゥ!最高!!」
瀬で飛び上がった水のカタマリがカヌーの中に入ってしまう。
右岸のエディ(川の水流が岸よりで逆流している場所)に入っていったんカヌーを引き上げる。
KKに「やってみるか?」と聞くがKKはぶんぶんと首を横にふった。
そりゃそうだろう。
意外な川
KKを前席に座らせフネのエンジンとし、僕は後席で舵をとる形でスタートした。
さきほどの瀬、KKの顔は見えないが、おそらくひきつっていただろう。
瀬に突っ込んだ瞬間、KKは「うわぁっ!」と叫んでいたが、無事に乗り越えると後ろの僕に振り向き、ニカッと笑って「おもしれぇな」と言い放った。
そうだそうだ。
水恐怖症だったKKを無理矢理カヌーあそびに連れていき、支笏湖で静水に慣らした後は川に誘った。
まんまと僕の思い通りに、KKもカヌーの、そして川の魅力にとりつかれているのだ!
初っ端の瀬をクリアしたボイジャー号は、ゆったりのんびりと、舳先を下流に向けた。
ガイドブック通りだ。
あとはちいさな瀬が1箇所程度あるだけと書いてあった。
が、が、瀬はけっこうな頻度で出てくる。
さすがに大きい瀬はないけれど、1級程度の楽しい瀬が何ヶ所も出てくる!
流れはハードではないけど、瀬の多さは先日の十勝川より多いかもしれない。
KKの声も、いつしか「うわぁっ!」から「イヤッホォ~~!!」に変わっている。
二人で下っていると、気が楽だ。
先日僕を恐怖の底へと突き落とした倒木も、事前に感知すると、サッサとポーテージで迂回。
瀬の読みも大して出来ない僕らは、「よっしゃどこ通って行く?」なんて言いながらも結局ひっかかっては笑いあってライニングダウンする、といった気楽さで、ゆっくりと後志利別川を下っていった。
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