四国の川を旅する《四万十川 09》

2013年05月26日 23:08

 目的地、かわらっこ

口屋内の、橋梁が落ちた沈下橋に多少びびりながら通過。
すぐに口屋内大橋にさしかかる。

 

川地図によるとこの先川幅が細くなるようだ。
細くなった川は、当然ながら多少の急流となる。
が、やさしさのカタマリのような四万十川は、そんな常識もくつがえし、ひたすらゆったりとゆっくりと流れた。

天気は相変わらずのどんよりとした曇りである。
静かな水面を落ち着いて下る。

曇ってはいるもののほとんど無風のおだやかな春の一日。
僕はこの川にナゼあこがれていたのだろう。
テレビやガイドブックで紹介される四万十川は水自体が『最後の清流』そのままの美しさだった。
しかし、今回下っているそれは、まったく感じられない。
だが、このおだやかな空気に支配され、僕は予想とは違った魅力を感じずにはいられなかった。

久保川あたりでトイレ休憩。
河原でケムリを吐き出しながら、言いようのない満足感に包まれていた。
対岸側には、川のカーブの外側にできる、ちょっとしたチャラ瀬が見える。
ちょっと遊んでいくか。

 

再びボイジャーに乗り込み、浅いイン側を少し遡る。
メインカレントに乗ってチャラ瀬へ。
多分、四万十川を下り始めて初めての瀬遊びだ。
ドンブラコと艇を揺らす波。
瀬さえおだやかである。

今日の目的地『かわらっこ』まではもう半分の行程であった。

鵜の江の沈下橋。

 

ここの川原は大川観光キャンプ場となっている。
小さめの施設がちらりと見えた。

川面はついに静水と化す。
山並みを映し出して、美しい。
この景色を壊したくないと思い、ゆっくりとパドルを入れた。

 

下流から何やら視界に入ってきた。

「あ、川船だ」

この川下り中、まだ水の上でパドラーはおろか人の乗ったフネとも出会っていない。
少し新鮮な気持ちで川船が上流に上がっていくのとすれ違った。

 

間もなく今日の目的地『かわらっこ』に到着だ。

ついにポツリポツリと雨粒が顔に当たり始めていた。


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