世界遺産で鳥 その5/E

2011年05月03日 02:13

知床斜里のホテルへと戻ってきたが、満腹状態はいっこうに収まる気配が無い。
そうこうしているうちに、夕食の時間がやってきた。
苦痛である。
近くにあった『うどん居酒屋』なるところへ行ってみるが、ビールとジュースとうどんを一杯オーダーしただけ。
それでも腹はきつく、、辛い夜を過ごすことになった。

飽食日本。
飽食知床。
いや、単に食べすぎただけであろう。

迎えた最終日。
電車の時間の都合で、昼過ぎには網走に到着する必要がある。
斜里の中で午前中を過ごすことにする。
海鳥が多く集まるという斜里港に行ってみるが、さして珍しい種も確認できず。
早々に切り上げて知床博物館へ。
ここには傷付いたオオワシやオジロワシがいるオリが置いてあったり、知床の自然・歴史を紹介する展示物がわんさかと展示されていたりする。
ここは意外と面白かった。
ビデオ放映もされていた。
また野生動物の話になってしまうが、それは特筆したいヒグマの物語であった。

山奥で暮らしていたヒグマの子。
ある日、カラスが群がっているのを発見する。

 「なんだろう?」

そこには人間の食べ残しや、飲みかけのジュースなどが転がっているキャンプ場の一画であった。
ヒグマの子は、ついその”ゴミ”を口にしてしまう。

 「こんなにおいしいものは食べたことがないぞ!」

それからヒグマの子は”ゴミ”を探してさまよう日々を送ることになった。
その味を知るカラスたちが近寄るが、

 「これは僕のものだ!」

とヒグマの子は来たものを追い払う。
ついにその姿を人間が発見する。
ヒグマの子は人間が食べ物を横取りしに来たと思い、人間を威嚇し、攻撃の態勢をとる。

結果、ヒグマの子は危険な個体として人間に認識され、駆除の対象となり射殺されてしまった…


これまた、先に書いたような『オオカミとシカの話』と同じく、人間が原因となって野生動物に危害を加えてしまっている話である。

この物語を見た僕もノエも、とても悲しい気持ちになった。
ノエは泣いていた。
気付いたのだ。
自然が壊れ、動物が死んで行くことの原因、それは人間の活動が背景にあることに。

昔から子供に言い聞かせている『自然にゴミを捨てないこと』の大切さを、はっきりと認識してくれたであろう。

ノエは博物館に置いてあったレッドリスト(絶滅のおそれのある動物のリスト)が書かれたチラシを持ち帰り、それを見るたびに泣いた。

 「絶滅する動物を助けたい」

と、幼いながらに語っていた。
今、ノエは”自然を守る仕事”をしたいと言っている。
その気持ち、忘れてくれるな…

これは最近、ノエがふと書いていたカード(?)である。

 

鳥の種類に詳しく、判別の力もかなりついている事を得意に思うよりも、こういった志を抱いてくれていることを誇らしく思う。
学校の帰り道に、友達を誘ってゴミ拾いしながら歩くといった行動にも気持ちが現れている。

完全に子供の自慢話になってしまったこの記事。
が、大切なことは僕も忘れないし、可能なことはやっていく。

ステキな場所でキャンプしたり、遊んだり、その際に目に付いたゴミを拾うことなんて、たやすい事じゃないか。
そしてより近い場所で活動をする人たちのために、できる限りの援助をしていきたい。


帰り道、斜里の街中の街灯に、当り前のようにオオワシがとまっていた。
どこでも見られるが、ノスリもいる。
ちょっと街中から外れた農耕地に、オオワシが群れていた。

  

知床…
一番、自然を取り戻しやすい場所なんだね。
だから、世界遺産になったんだね。
あとは、そこに住み、或いは訪れる人間達の意識である。

僕たち父子にとって、この知床は非常に意義のある旅となった。

 


 * おまけ *

網走駅には、電車の出発時間にちょうど良いタイミングで到着した。
が、様子がおかしい。
道央地区で大雪のため、運休…
「な、なんですと!?!?」
翌日は仕事。どうしよう~…
ふと、飛行機の航路があることを思い出す。
時間を調べると、出発まであと1時間も無いではないか!
女満別までタクシーをカッ飛ばしてもらい、なんとか千歳行きの飛行機に間に合った。

最後の最後で。。。。。。。。
4万近い出費になった。・゚・(ノД`;)・゚・

はぁぁ…

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