人間耐寒実験所

2011年02月08日 23:37

冬。
北海道の冬は、とにかく寒い。
前々から、外テントの冬キャンをとにかくやってみたいと思っていた。
それには少々(かなり)勇気がいる。
天候・気温に大きく快適さが左右されるはずだ。
したがって、まずは実験、お試しをやるのが、石橋を叩いて渡る式の挑戦方法としてはセオリーとなるのだ。

定山渓自然の村。

ここは冬期間もクローズすることのない、通年営業のキャンプ場だ。
冬期は主にコテージでのほかほかステイになるのであるが。
そこを、予約した。
我々家族と、友達家族。
2室を借りる。
組合せは、『大人』と『子供』に分かれる。
大人の男性は僕しか参加しておらず、おのずと大人部屋からははじき出される。
子供からはいびきがうるさいからとしめ出される。
という理由付けは実はどうでもいい。

最初から外にソロテントを張るつもりなのだ。

 

冬用テントでもなければ、冬用のシュラフも無いが、コテージを逃げ場にキープしておき、その裏手で寒さに震えながら泊まってみようじゃぁないかという、自虐的性格である。
Mというか、バカである。

とにかく、ステイは始まった。
この定山渓自然の村の立地は、周りを山に囲まれた狭小の扇状地である。

 

この山をまずは楽しまなければならないであろう。
一応5枚レイヤードの上半身に防寒靴にゲーター(秀岳荘オリジナル☆)、愛用しているアトラスのスノーシューにでかい双眼鏡を持って出発する。
ザックには最悪の事態を考えて、テントとシュラフを入れてある。

 

出発は3時前。
ちょっと遅いか…でもなんとかかんとか、近いところの小ピークでもいいからピークハントがしたい。
地形図に赤で尾根を書き入れてから出発。

 

登山道、遊歩道は無い。
積雪期だからこそやれる、と信じていたが…
尾根に乗る前の急斜面を九十九折しながら登るが、きつい…
途中、エゾリスのフィールドサイン。
ちょっと癒される。

 

ようやく尾根に乗る。
この時すでにアウターを脱ぎ去るほど汗をかいていた。

 

尾根は藪道であるが、なんとかかんとか進むことはできる。
小枝やツルが体にストックにまとわりつき、体力をどんどん奪われる。

「1時間ありゃイケルだろ」

甘い考えは、すぐに自然に打ち消された。
残念ながら尾根の途中で時間切れ。

 

 

さして良い景色も頂けず、情けなく来た道をツボ足で戻る。

戻ったコテージでは子供らが絵を描いて遊び、大人らがビールで宴会を始めていた。

しかし僕にはここからが本番。
テント設営に入る。

スノーシューをはいたまま整地。

 

この後スノーシューを取り外して更に整地を行うが、雪がサラサラすぎて固まらない。
単純に、寒いのだ。
もう適当でいいやと思い、適当にテントを張った。
ストック、スノーシューをペグがわりに。
土嚢袋に雪を詰めてペグ代わりにしようと思っていたが、面倒くさくてそんなこと一切しようとしなかった。

 

子供たちと7時半頃に参加したキャンプファイアで、スタッフからすでにマイナス10度であることを告げられて、萎える。
適当に酒を飲み、晩飯を食い終わったあと、いよいよ就寝である。
雪中キャンプド素人、耐寒実験に身を投じる時が来た。

マットは二枚重ね。
シュラフもモンベルの#3と#7を二枚重ね。
#3が快眠温度0℃~、#7が7℃~である。
二枚重ねて…

 「マイナス20度だな。」

と凄まじく適当な計算。
この時、夜11時半。
恐らくマイナス12℃ぐらいにはなっているはずだ。
シュラフをセットするが、そのシュラフを触っている手がすでにしもやけになりそうなぐらい冷たい。

ごそごそとごわごわしたシュラフに身を入れる。
冷たい。
体温が行き渡ると、そこそこ快適にはなった。
顔にはネックウォーマーを装着、他人がテントに入ってきたら、ギョッとするいでたちである。

ウトウトしては寒さで目が覚める。
シュラフはとてもじゃないが寒さに対応していない。
体のあちこちに寒さを感じる。
あまり我慢していると低体温も心配されるので、厚着で対応することにした。

深夜1時。
眠っていたが、外からの声に目が覚める。

 「アンタ、大丈夫!?」

大人たちが心配してやってきた。
おかげで、目が覚めてしまった。
更に寒さが身に染みる。
アウターをシュラフの上にかけて対応。

深夜2時半。
寒さで壊れるとマズいと思っていた携帯のバイブ。
眠っていたがまた目が覚めた。

 『私ら寝ます。頑張ってね』

送るな、そんなメール。
また目が覚めてしまった。

そこからは少し寝ては寒さで目が覚め、またウトウトしては寒くて・・・を延々と繰り返した。
ネックウォーマーごしに目を開けると、明るくなっているのがわかった。
朝を迎えたのだ。
6時半。
手許のキーホルダー型温度計をチェックする。
シュラフの外に出る肌の部分に寒さが突き刺さる。

温度は、マイナス16度を差していた!!!

ここでギブアップしてコテージに逃げ込んだ。
6時半から8時まで、ぬくぬくの部屋でゆっくりと寝た。

風邪もひかず、体調も悪くならなかったが、これは辛かった。
快適さのかけらもなかった。
ネックウォーマーごしに吐き出された僕の息は結露を起こし、それがすでに結晶化してテントが揺れるたびにハラハラとテント内に雪を降らせた。


結論。

・手持ちシュラフの二枚重ねは、せいぜいマイナス5度である。

・もう、こんなことやらない。(;。;)
 冒険家でもないんだし。
 普通のサラリーマンだし。。


おまけ。

・僕は、実は寒がりである。

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