北海道の川を旅する《幻の歴舟川07 4》

2008年11月19日 23:17

実際下ってるのは、日本一の清流(国土交通省調べ:失笑対象)『後志利別川』です。

 苦しい川下り

度重なるライニングダウンでカヌーの中は水浸しだった。
ケツが濡れると、やけに寒いものだ。
そのケツも既にビショビショ。
向かい風はいつまでたっても止まず、空を覆い始めた雲は、地上からどんどん温度を奪っていく。
つまり、ものっすごい寒さなんです。
露出した腕や顔は冷え、正直やんなっちゃってた。

 
 「まだかーーーっ!」
 「ぜんっぜんまだだーーーーっ!」

こんなやりとりが延々続く。
出発の時に僕がKKに放った言葉、
「俺、この川好きだな。いい川だと思う」
それに対してKK、
「俺もここしか知らないけど好きだよここ、楽しい」
そんな言葉を、今なら100%撤回できる。
その自信が、僕らにはあった。
とにかくひたすら漕ぎ、文句を言い、震え、そして漕ぎ。
キャンプ地に近い田代橋をくぐる。
川幅全体にちいさい落ち込みがある。
記憶によると、去年はここでひっかかり、ライニングダウンしている。
「降りたくない…」
そんな秘めたる思いが、恐らくKKの頭にもよぎっただろう。
コースを読むのに必死になる。

 「あっちか!いや、こっちか!そうだ、こっちだ!!」

我がボイジャー号は舟底を摺りつつも、なんとかクリア。
そして我らが愛しきクルマ、『ノア』のある川原が見えた。
ものすごい勢いでホッとする。
ストリームアウトで岸につけようとしたら漕力が足りず、そのまま川岸の浅瀬に頭からつっこむように到着。
情けない接岸だよ…
情けないよ、このやられっぷり…

雨に濡れた小雀のような我々は、力なくフネを降りた。


 回復

フネを降りた僕らに、なんと今さら、本当に今さらながら、雲の切れ目から陽が差してきた。
アホちゃうんか!!
自然に猛烈に抗議したかった。
時間はこの時4時頃。
陽が差せばすぐに、気温が上がる。
KKと僕は、夜に備えて焚き木を少々集めることにした。
ちょうど対岸に、燃えやすそうな枝をワンサカつけている流木がある。
でも、対岸。
川を渡らなければならない。
僕とKKは、お尻ギリギリまで水につかりながら対岸を行ったり来たりした。
「なんか荒々しくて男らしいぞ!笑」
お互いケラケラと笑いながら数回、川を渡った。


ポーズをとるKK


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