SEA BREEZE (中)
狸小路市場『文字屋』の餅めんたいもんじゃと、パドルグリップ位置の狭いYさんに捧ぐ。
翌朝、一路積丹カヤックスオフィスへクルマを走らせる。
今回参加してくれているYさんEさんとの『シャコタンブルーを見せる』という約束。
どうやら今回は、絶好のその日和となりそうだ。
前回、無人の浜キャンプでは曇天と小雨のため、それは叶わなかった。
太陽に照らし出された海の青さは格別である。
シャコタンブルーは、どことなく寒さを感じる、深い深い青色なのだ。
Iwaoさんによって組合せが発表される。
念願のフェザークラフトk2には、僕とYさんが任命される。
「このフネはちょっと操作が難しいので、扱いに慣れている三浦さんにスターンを漕いでもらいます」
という言葉が嬉しかった。
「Yさん、俺が守ってやっからな!」という単純な思いが沸いてくるが口に出すほど単純な頭ではない。
ここは自己満足で止めておいて吉だ。
そんなにたいそうな事ではないのだ。
一人ウンウンと頷き、密かに瞳の奥に炎がともる。
M野氏はこれまた念願のFRP艇、ノーライトのソロに。
EさんとK君はバランスの良いポリ製のタンデム艇へ乗り込む。
レクチャーの後、入珂から我々3艇とIwaoさんの1艇、計4艇が積丹の海に滑り出した。
ヒャーーーーーッ!!
毎回毎回たまらない。
この漕ぎ出しの爽快感、それにつられて出てくる気持ちよさや嬉しさ、笑うしかない。
皆、笑顔だ。
この瞬間のためにカヤックをやっていると言っても過言ではない。
透き通った海にみんなが感激している。
ようやく約束を果たせた瞬間であった。
奇岩が連なり、厳しい断崖を見せ続ける積丹の風景は僕にとって既に見慣れたものではあるが、その美しさは何度訪れても感激に値する。
コースは入珂を出て積丹岬を西側から巻き、女郎小岩を過ぎて幌武意に到着する、距離にして約10km程度のコースだ。
積丹岬を右に眺め、通過する。
ほどよいうねりが心地良い。
船酔いすることが判明している僕も、酔い止めを飲んでの参加だ。
少し気になることがあった。
フェザークラフトK2のバウを務めてもらっているYさんにやたらと蚊がついてくる。
何度も何度もスターンからパドルを振り回し追い払うが、蚊の追跡も容赦ない。
「俺以外にこんなに虫に好かれるヤツがいるなんて…」
通常、虫の相手は僕が引き受けている。
誰も刺されない環境下で、僕だけが何故か刺されるのだ。
しかし今回は明らかにYさんがターゲット化している。
少し、面白い。
スイスイと進むM野氏のFRP艇、初チャレンジながら笑顔でパドリングを続けるEさんにK君。
蚊の猛追にあうYさんとそれを退治しようと何度もパドルを振り回す僕。
3艇はIwaoさんの先導で、狭い水路や岩の脇をすりぬけて進む。
ほどなくランチスポットに到着。
太陽に虹の輪がかかっている。
そこには天然の青い青いプールが存在した!
Iwaoさん曰く、
「4,5メートルは深さあるから大丈夫ですよ」
との事でダイブを勧められるが、透明すぎて浅そうに見えて恐い。
M野氏が先陣を切った。
あ、これなら行けそうだと僕も青い天然のプールへ飛び込む。
続いてK君、Yさんが飛び込む。
Yさんが飛び込む時、僕は水面からその姿を見ていたが、力強いダイブであった。
その表情は、狩を行うライオンのようであった。
いやぁ爽快。
なんという気持ちのよさ。
これでも9月下旬の北海道なのか…
いつものようにIwaoさんにランチを用意してもらう。
この時のためにノンアルコールビールを用意してある。
冷えたビールもどきで全員乾杯だ!
例のランチはやはりものすごくウマい。
(僕ら小食なんでいつも残してしまうのですが、本当においしくて大好きなんです、Iwaoさん。)
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